2018年12月7日金曜日

Exhibition (JP): What makes things fly


作家:ペレグ・ディション

主催:やまきわ美術館(新潟)、WAITINGROOM(東京)
共催:在日イスラエル大使館

場所:WAITINGROOM
日程:2018.12.1- 23 12- 19pm (月火祝休み、ただし23日はオープン)

オープニング・レセプション:12.1 18- 20pm
アーティスト・トーク:12.1 19pm-

ワークショップ:2018.11.23 14- 17pm (やまきわ美術館にて
ペレグ・ディションと小型の六角凧を作ります。
予約制・参加費無料
予約・問い合わせは下記の連絡先までお願い致します。


概要
今冬、Art Hotel やまきわ美術館、WAITINGROOM gallery、イスラエル大使館は共同企画「日本イスラエルAIR プロジェクトYamakiwa / WAITINGROOM」を開催します。本企画では、99名の応募者の中から選ばれたペレグ・ディション(Peleg Dishon、イスラエル出身)が、1ヶ月間新潟・十日町市に滞在し、現地の環境や人々とのコミュニケーションの中で制作した作品を、東京のギャラリーWAITINGROOMにて発表します。

ディションは伝統的なユダヤの切り絵文化に影響を受け、長年「紙」を重要な素材として使用してきました。今回イスラエルと日本の両国にアプローチするテーマとして、イスラエル初の美術学校・ベツァレル美術デザイン学院を設立した、ボリス・シャッツによる書籍『Jerusalem rebuilt: A Daydream1918)』を起点に、切り絵で凧を制作するという案を考えました。この本には100年後のエルサレム(つまり執筆されてから100年後にあたる2018年)の様子が、平和主義の近未来的ユートピアの世界観に基づいて表されています。シャッツはユートピアのモデルとして日本の工芸美術を挙げており、彼が提唱する再建されたエルサレムに、ベツァレル出身の作家による美術を基礎とした経済システムを作りたいと考えていました。

しかし現実の2018年は、アメリカのトランプ政権がエルサレムをイスラエルの首都と認め、大使館をテルアビブからエルサレムへ移したことにより、パレスチナ・ガザ地区の境界付近では抗争が激化しています。抗議デモが繰り返され、火炎瓶が取り付けられた凧がパレスチナからイスラエル領に放たれ、ぼや騒ぎが起こるなどの事件が多発しました。自由と希望の象徴であるはずの凧が武器に変わってしまったこの事件は、ディションがまさに今回のプロジェクトのプロポーザルを書いている最中に起こりました。

KITE(凧)」はヘブライ語では、現実から切り離され空にふわふわと浮かぶ人の隠喩として使用されるとのことです。『Jerusalem rebuilt』は、シャッツが100年後(つまり現在)の理想のエルサレムの上を、ふわふわと浮かんでいる様子から始まります。ディションは、彼が空飛ぶ絨毯を使っていると想像しました。空飛ぶ絨毯の神話の起源は、ソロモン王が建設したエルサレム最初の寺院と、彼の恋人シバの女王が関わっています。その物語では、絨毯の「色」が絨毯を空に飛ばすとされていたそうです。
また、ディションは新潟の白根で毎年開催されている『白根大凧合戦』も参照しています。これは江戸時代に起源を持ち、川を挟んだ2つのグループがそれぞれの川岸から大凧を揚げ、どちらが先に相手の凧を川に落とすことができるか争う催しです。川に落ちた凧は飛ぶことができなくなるだけでなく、川の水に洗われて色を失ってしまうのだとディションは言います。
二つの物語では、空を飛ぶために「色」が重要な要素となっていますが、実際に私たちの心の中で物事を空へ飛ばすのは、「想像力」とそれが紡ぎ出す「物語」であるとディションは考えます。

ディションは新潟での滞在制作中に、本企画のことを耳にした和紙作り職人から100年前の手作り和紙100枚を贈られました。彼はこれを使用し、自身の制作ルーツであるユダヤの伝統的な切り絵手法と日本の伝統的な凧装飾を用い、シャッツの視点に基づいて凧を制作することにより、彼のユートピアの世界観を立ち上がらせることを試みます。これがイスラエル・パレスチナ間の抗争を解決することは難しいけれど、想像力のもつ力を人々に思い起こさせることで人々を助け、過酷な現実に対抗して空に浮かんでいます。

展示はメインの大型の凧、古代エルサレムを描いた紙の立体本、小型凧10体を合わせたインスタレーションになります。小型凧は、水で描かれたイメージが乾くと消えるという中国の特別な布を使用して、新潟のやまきわ美術館のワークショップで地域の人たちと共同制作します。また展示期間中、観客は小型凧にそれぞれ好きな絵柄を描くことができます。物語の中の「色」のように、それは乾くと消えてしまいます。

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